急須、使い始めの方法と注意点

急須の使い始め方

急須って、
買ってそのまま使わない方が良い
のをご存じでしょうか?

「もちろん、さっと水洗いしてから使ってるわよ!」
というそこのあなた。

実は、水洗いでは不十分なんです。
煮沸してほしいんですよ。

使い始めの煮沸で予防できること

なぜ煮沸した方が良いのかというと、
その後の汚れの蓄積具合が変わるからなんです。
汚れが付きにくくなります。

なぜでしょうか?
それは、急須の内側を触ってみると分かります。

ツルツルではなく、ザラっとしてます。
これは表面に「孔」と呼ばれる穴のようなもの
無数にあるからなんですね。

何もしない状態だと、すっからかんです。
そこに茶渋汚れが入って染みて行ってしまうんです。

一方、煮沸を十分にすることで、
そこから水分が素材に吸収されていき、
汚れが染みにくく、結果蓄積もされずらくなるんです。

煮沸の方法

では、具体的な方法をまとめておきます!

  1. ①急須が浸かるサイズのお鍋でお湯を沸かす
  2. ②急須を入れて10~15分ほど煮沸する
  3. ③一晩乾かして完成

これだけで、衛生的で長く使いやすくなります♪
お勧めの使い始め儀式です!

煮沸が要らない急須もある

実は全ての急須に上記の煮沸が必要かと言うと、
そうでもないんです。

ではどんな急須には必要ないのかというと、
「磁器の急須」
には必要ありません。

「磁器」とは簡単に言うと「石」
からできた素材のことで、
表面をさわると「ツルツル」してます。

これは表面に「孔」がないからなんですね。
つまり、水分を吸収しない素材なんです。
だから、煮沸する必要がありません!

具体的な焼き物で言うと、
波佐見焼・有田焼・九谷焼
で多い素材です。

ぜひご自身が買う時は
磁器なのかどうかをチェックしたうえで
購入を決めてみて下さい!

[コラム:炻器(せっき)の魅力]

そもそも急須の素材でメジャーなのは「炻器」です。
常滑焼や萬古焼などが有名です。
磁器が出てきたので違いをまとめてみます。

大まかに言うと、磁器の反対は「陶器」です。
陶器は、土からつくる素材です。
磁器と比べると、目が粗く「孔」ができます。

急須で多い「炻器」はこの磁器と陶器の
中間に位置する素材です。

陶器ほど粗くはないけど、孔は存在する。
では「孔」があることで何が良いのかというと、
「うつわに注いだものの味わいをまろやかにする」
効果があると言われています。

理由としては、水分に含まれる鉄分を吸着しやすくし、
水分のミネラル感を取り除いてくれます。
また、使うほどに「孔」に少しずつ蓄積される
自分が飲む液体の成分が、風味にわずかに影響する点も
指摘されています。

こうした効果が磁器にはない「炻器」の魅力です。

使い始めに命を吹き込む

急須作家・澤田さんが手掛けるモダン急須

急須を買ったらすぐ使えないのは
もどかしい気持ちになりますよね。

分かります。
僕も買ったらすぐに使いたくなる
タイプだからです(笑)

でも、焦らないで下さい。

急須を煮沸する行為は、
「これから長く一緒に美味しいお茶を作ろうね。
末永くよろしくお願いします。」

そんな想いを込める時間だと思ってみて下さい。

まるで急須が単なるモノではなく、
ペットを飼うかのような
愛おしい感覚になってくるはずです。

だから、僕は急須を煮沸するのは
「家族をお出迎えする儀式」
と言っています^^

ぜひ煮沸を愛おしいお出迎え儀式として
試してみて下さい。
きっと急須が微笑んでくれますよ。